胡蝶蘭栽培における素焼き鉢とポリ鉢

素焼き鉢とポリ鉢、どちらが理想なのか考える

胡蝶蘭との相性はどちらが良いか?

最近はほとんどが輸入株、海外産は貨物重量の関係で水苔+ポリポットになっています。素焼き鉢での生産者がほぼ全滅、現状100%近く輸入株のため、このコンポストの比較記事は意味が無くなってきました。趣味栽培の参考にしてください。

栽培時、素焼き鉢は根張りが良く、ポリポットは根張りが悪いといわれます。果たして正しいでしょうか?

当店では2000年前後の4年間は素焼き鉢を使用しておりました。それ以前は水苔+ポリポット。現在はポリポット+オリジナルコンポストを使用しております。体験上、 根の生育、発生本数ともあまり差はありません。

素焼き鉢

素焼き鉢+水苔栽培

根が鉢に接し、根が回った状態、鉢本体から水分肥料を供給でき、生育はより活発になります。その他の利点として乾きが早く、均等に乾きやすい。最大の欠点は重い事です。

素焼き鉢は平均して生育が良い

素焼き鉢はなぜ平均して生育が良いのでしょうか。それは水苔の持つ特性、水分と肥料分の水平移動が行われることです。

素焼き鉢に接している根が水や肥料を鉢から吸収すると、内部の水苔から鉢に移動して継続供給されます。また余分な水分は外壁から蒸発します。

ポリポットは鉢増しが必要

ポリポットは水を浸透しない、鉢から水や肥料成分が供給されず、根は接触するコンポスト部分より供給される。蒸発が無いので乾きにくい。根が見えるのは最大の利点。根も少し光合成しているようで緑色を呈す。

根張りだけに限定して比較すると、光線の影響?ポリポットが根の量が多いかな。肥料密度が少なく、より多く吸収しようと、多く根を成長させたよう。

水苔の密度

水と肥料との移動をスムースに行うには適度の水苔の密度が必要です。柔らかいと繊維間に空気間隙が出来て、水の移動が出来ません。また多くの水を保持するので乾かず根が窒息します。硬すぎると根の張るところが無くなってきます。

新鮮な水苔は水や肥料の流れ(毛細管現象)が良好です。古くなると繊維が分解され、粉状に変化、流れ難くなってきます。

肥料残渣が溜まり、酸性が強くなってきます。このころから急激に作落ちしてきます。

生育スピードが落ち始めると、外側に新しいミズゴケを補給する必要(鉢増し)があります。

バーク植について

バーク植について

バークは基本的に粒子間に隙間があり、毛細管現象による横方向の水の移動がほとんど出来ません。重力的に上から下への移動のみです。

根が水や肥料を吸収しても周囲からの供給が少い、鉢の中は湿っていても根の周辺が乾いているのです。

葉にそよ風を当ててやると生育が良くなります。これは葉の気孔から炭酸ガスを吸収した時、気孔の周辺に炭酸ガスの濃度が低くなってきます。これを補正するために攪拌します。これと同じ現象が鉢の中で起こっています

根の場合、このような攪拌が出来ないので多少湿っていても、強制的に新しい水と肥料を供給する必要があります。水の移動を少しでも行えるように、水苔やピートモス等を少し加えることも考えられます。

バーク+素焼き鉢は相性が悪いので止めましよう。粒子間の隙間が多く、素焼き鉢と一体化できないからです。

病気は手、ベンチから感染する

病気の根やコンポストに接触すると病原菌やウイルスが手に多量に付着します。その手で素焼き鉢に接触すると感染します。ベンチが汚染されていても遮断できなく、感染する。素焼き鉢はこの点でリスクが大きい。

総括

素焼き鉢に相性の良いのは、やはり水苔です。

胡蝶蘭はカトレヤなどに比較して根っこの再生力が弱いです。長い水苔で根っこを巻き込んで植え付けると、植え替え時、解体作業で根を傷めます。

数の多いときは、作業性とコスト面から透明のポリポット+バーク系の方が安全です。