最良のコンポスト

胡蝶蘭の理想のコンポストとは

ギフトでいただいた胡蝶蘭は花が終わったら
植え替えする。このような記事が多くみられます。当店では初心者、ベテランの方問わず1年以上、植替無しで安心して栽培できるように工夫して販売しております。

自然に学ぶ

胡蝶蘭の根

当店は苗から育てます。自分のオリジナル品種を作成、育苗するのでコンポストは最も重要なアイテムになってます。

胡蝶蘭の自生地は亜熱帯地方の高山
(標高1500メートル位)

昼間は木陰で涼しく、夕方から霧に覆われます。たっぷりと根から水分を補給できます。この良い環境に少しでも近づける必要があります。 最近温暖化で夏の気温が今までと異なり、35℃を超える日が続いています。今までのコンポストでは、この暑さで高温障害が起きます。 見直す時期になりました。

良いコンポストの条件

1 通気性がよい(着生蘭である)
2 適度の保水性がある(霧に見立てる)
3 経年変化(物理的、科学的)がない
4 鉄、アルミなどの金属類、塩基を多く含まない
5 軽量
6 鉢との相性

コンポストの良い状態

1 根っ子が鉢中へ積極的に入ろうとする。
2 鉢底や縁から根っ子が出てこない。
3 鉢外に出ている根っ子はあまり伸びない 。
4 根は白く編状態に。(グルグル巻きは良くない)

鉢中の環境が悪いと根っ子は、よりよい環境を求めて鉢外に出てきます。鉢の中の根は新しい根が無く、肥料の吸収し切れず蓄積、環境が悪くなり雑菌が繁殖、さらに悪循環に陥ります。このような時は早く植え替えをします。

材料

胡蝶蘭、カトレヤ等の着生蘭
シンビジューム、パフィオペディルム等の地生の蘭

2系統に分けられますがコンポストは共用できます。異なるのは水管理です。前者は乾いたら水をやる。後者は乾く前に水をやる。当然個人の管理方法によって使用する材料が異なります。

有機材料

自然に腐食する材料群

水苔

広く行われている水苔を硬く巻く、最大の利点は水管理が楽なことです。上部のウオータースペースを満水にしておけば、染みこみ、ちょうど良くなります。しかし水苔は古くなると酸性が強くなり、根っ子の育ちが悪くなります。水苔をケチって緩く巻くと、過湿で根腐れを起こします。水苔の寿命も極端に短くなります。

ニュージーランド産が最高級品。寿命が長くて安心して使用できます。欠点は高価、ダニの付着が多い、胡蝶蘭花落ちの最大原因となります。

チリ産は産出地方によりPHが低すぎの物があり、生育遅れの原因、ダニは少ない。
輸入胡蝶蘭苗はチリ産が多く使用されています。

国産は入手難、安心して使用できるが寿命はやや短い。中国産は寿命短く産地によるがダニも多い、短期の栽培用。

ヤシ殻チップ

胡蝶蘭にはアク抜きして用います。塩分、カリウムの除去が主たる目的です。タンニンが生育障害をもたらすという方も居られます。タンニンは繊維中に含まれ、防腐作用があります。ヤシ殻が分解しにくいのはタンニンが含まれているからです。アク抜きベラボンを使用するのが便利です。個人的使用感では、悪くはないけど最良には届かない気がします。

バーク類

ニュージーランド産バーク

よく用いられます。松の樹皮を粉砕、あく抜き処理をしたものです。

欠点は乾きやすい。生産者はミズゴケ栽培後、バークを周囲に充填してバランスをとっています。管理次第で良く育ちます。

レッドウッドバーク

最近はあまり見かけないが昭和の終わり~平成の始めころ「レッドウッドバーク」が輸入されました。生の木片を含むオレンジ赤色のバーク、 窒素吸収も少なく、安価で良かったのですが、いつの間にか無くなりました。病気も少なかったと記憶してます。

へゴチップ

当店では当時、3年ほどレッドウッドバークを使用した。その後さらに安価なへゴチップが大量に入荷、使いやすく成績も良かった。 ヘゴ由来の茸が生えることがあり、肥料不足で生育が遅れました。5年ほど使用したが、現地の森林保護で急に入手出来なくなりました。現在は少量輸入されて、10倍くらいの価格で販売されています。

杉皮

抗菌作用があり安価な材料です。洋蘭用としてはクリプトモスしかありません。地方の木材団地には使えそうなものがあるはずです。 生の杉皮(檜、皮以外の材も混入)で栽培はできます。

今使われているコンポストと比較すると生育はやや緩慢、根の本数もやや少ないようだ。病気が出ないこと。 ダニも住み着かない気がします。無農薬栽培が可能です。 生育が緩慢の欠点を補うように、多くの肥料、他の材料の添加すると、生育が良くなると同時に、病気も増加します。

もみ殻燻炭

最もポピュラーな材料です。過去にカトレヤの切り花栽培に使いました。問題なく使用できます。灰が混入するような焼き過ぎはPHが高く、良くないです。

そば殻燻炭

粒がしっかりしていて使いやすいようです、当店が栽培に使用した結果、もみ殻燻炭のほうが良かった。 そば殻そのものの添加、そば殻入りたい肥、いずれもいまいち。 燻炭など柔らかい材料は手で慎重に扱わないと崩れて通気不良となる。

粒炭

主に樹皮を炭化した物、やや酸性、長く使用していたが現在は竹炭を使用しています。真っ黒の埃が難点。 サプリメントみたいな物、はっきりした効果は認められない、気分的なものかな。 木炭は使用したことがない。

無機材料

日向、十和田湖の軽石を使用した。 空気層、水持ちを期待していた。重量はかさむ。他に真珠岩パーライトも軽くて良い。ただしチクチク肌がかゆくなるので使用を断念。 黒曜石パーライトは水に浮いて使い物にならない。